忍者ブログ

郊外系デイタイム

まやかし 6

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

まやかし 6

1月12日 水曜日

 風花は何も悪くない。雪歩はそう言ってくれた。私も実際、なにか悪いことをした覚えなんてない。
 でも、なんだろう、このもやもやとした気持ちは。
 いや、知ってる。なんだろうなんて疑問に感じることすら私には罪深いってことも。私が今、八尋くんと付き合えているのはナミのおかげ。もしそれがなくて物事が順当に進んでいれば、八尋くんはあの子と付き合っていたに違いない。私は人の得られるはずだった幸福を握りつぶしてまで自分の幸福に酔えるほど高慢な人間ではなかった。もちろん八尋くんとの関係をやめようとは思わないけど、ちょっとだけ罪悪感がある。悪いのはナミなのに私が罪悪感を得るというのも変な話かもしれないけれど、それってつまりはナミの引き起こしたこの現象に私は満足したということなんだよね。結果オーライ主義気味な私は自分の力ではないけど恋を成就させたその事実だけで満足してしまったということなんだろうね。この日記を書きながら気付いた。現状をナミの「せい」ではなくナミの「おかげ」って書いてる。
 私ってひどい女なのかな?
 今日はそんなことを考えながら学校に行く羽目に。八尋くんはなんだか終始浮かない表情だった。
「元気ないね。どうしたの?」
「いいや、元気だよ。ありがとう」
 会話は短く途切れた。八尋くんは虚ろな目で窓の外を眺めていた。
 八尋くんの視線の先を追った。そして見てしまった。八尋くんの視線の先にはこの間の幼馴染の女の子がいた。
「八尋くん?」
 私の一度目の呼びかけに八尋くんは応えなかった。
「八尋くんってば」
「えっああごめん風花。ちょっとぼーっとしてたよ」
 焦った。高校生の流す噂はとにかく回転が速い。ましてやクラスの中心にいる八尋くんに噂が回ってこないなんてことはまずない。八尋くんは幼馴染のあの子が自分を想っているということを知ってしまったのかもしれない。私の呼びかけに気付かないくらい、あの子のことを心配していたのかもしれない。
 怖い。急にすべての先行きが暗く感じられる。ネガティブな私はこのことを、あまりにも重く受け止めすぎた。
 さまざまな感情に潰されそうになりながら、なんとかその場では笑顔を保った。


 

TOP CONTENTS
PR

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

カレンダー

01 2018/02 03
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28

最新記事