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郊外系デイタイム

まやかし 4

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まやかし 4

12月24日 金曜日

「八尋くん、お待たせ!」
 クリスマスイブ、私は駅前ロータリーで八尋くんと待ち合わせた。ナミの言ったことはちらつくけれど、デートはつつがなく決行となった。
 夜に二人で歩くのはなんだかんだ初めてのことだった。八尋くんは前にも書いたけれどルックスがいいから、隣に私がいると釣り合っている気がしない。少し気恥ずかしい気持ちになる。
 一緒に買い物をしたり、ご飯を食べたりして、その後はカラオケに入った。私の音楽の好みを教えつつ、八尋くんの好みを知った。周りの子たちと比べると私はあまりデートというものに対する経験値が多くなかった。そんな私でも上々の時間を過ごしたと思う。もちろん、八尋くんが引っ張ってくれたからというのもあるんだけど。
 一緒に夕食というタイミングで、八尋くんは私にプレゼントをくれた。考えていることは同じだったみたいで、ペアアクセをもらった。デザインは正直趣味とは違っていたけれど、同じことを考えていたことや、そもそもプレゼントをくれたことがうれしかったからそんなことどうでもよかった。ナミに気を取られて私からは何も用意できなかったけれど、八尋くんはそれも許してくれた。いつか必ず埋め合わせをしようと思う。
 でも、それにばかり気を取られている私ではなかった。ペアアクセの感謝を存分に伝えた後、八尋くんの表情が一瞬曇ったのを私は見逃さなかった。先日のナミの言葉が頭をかすめる。
 どうしたの?
 ネガティブな私は、本当はクリスマスを一緒に過ごしたい人が別にいるけど感情を押し殺しているのだ、というところまでは余裕で被害妄想できた。そんなわけ、ないじゃん。八尋くんから告白してきたんだよ?
 私は気遣ったけど、八尋くんは気のせいだという。それでも心配な私は、なにか悩み事があったら言ってねと、ありがちな言葉で返した。
 私は今、最高に幸せな気分でいる。それは間違いなくいいことで、誰に咎められる必要もない幸福。ただ、私の幸福の要因である八尋くんも等しく幸福であるかどうかを私は知り得ない。知り得ることができない。彼が私と等しく幸福でない限り、私の今はどうあがいてもまやかしの幸福のままだ。それくらいの分別はあるつもりでいる。だからこそ八尋くんの悩みは全部知りたいし、一緒に考えてあげたい。私が原因なら正したい。もちろん、離れる以外の方法で。
 ああ、八尋くんの心がのぞけたらいいのに。それこそ、悪魔と血の契約でも交わしたい気分だ。


 

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