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郊外系デイタイム

まやかし 3

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まやかし 3

12月21日 火曜日

 昨日の日記は書くのを途中でナミに邪魔されたから、今日のページを使って簡単にだけど記しておこうと思う。
 私はあの後すぐに引き返した。通りがかった雪歩に軽く挨拶だけして、私は一目散に家に帰った。だって、ショックだし、気になるし、意味が分からないし!
 あの時ナミはなんて言ったか。
「おまえ、いま好き合っている男がいるじゃろう? あれはな、私があの男にかけた呪いのせいなんじゃよ。あの男がおまえを好いているのは、すべて私の力さ」
 何も言わずに引き返そうと思ったけど、ナミが隙を見て鞄の中にもぐり込んでいたことに気付かなかった。結局家まで連れてきてしまった。まあ、あとで尋問できると思えば構わない。
「あんまり私の存在をおおっぴらにしないでくれよ? 本当はここには来られないってことになっているんだから」
「そんなのどうでもいいの」
 部屋でナミと二人になる。面と向かって発した自分の声がやけに冷静で奇妙な気持ちになった。神の存在とか、呪いの存在とか、そんなことで驚いているほど今の私は暇ではない。
「さっきの話はなんなの? 八尋くんに何かしたの?」
 私が訊くとナミは、
「言葉通りじゃよ。私は八尋に呪いをかけた。ちなみに別れたら八尋は死ぬぞ」
「なっ」
 ものすごくあっさりと言われてしまって、すぐには言い返せなかった。
「なんでそんなことしたの?」
 声のトーンが一段階下がることを自覚する。
「それもさっき言ったろう。暇つぶしだ」
 要領を得ない。これから私は不幸になるのだろうか。それすらもわかっていない。
 付き合い始めて二週間。最初は顔が好みというだけだった八尋くんのことも、最近では内面的な部分もいろいろわかってきている。底抜けに明るく優しい八尋くんはネガティブで陰湿な私にとってもはやかけがえのない存在だ。 
「差し詰め私は愛のキューピットじゃな」
「だまりなさい」
 私の声が再び大きくなった。ナミも少し驚いた表情になる。
「別れなければいいんでしょう? そんなの、たいした問題じゃないじゃない」
 だって私は――たとえ八尋くんがそうじゃなかったとしても――私は八尋くんのことを愛しているから。

 

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